グラデーションマップの活用

グラデーションマップとは、グレイスケイルの諧調を任意のグラデーションカラーにリマップ(置き換え)する機能です。
下の図例では黒が赤色に、白色に近付くにつれて黄色へ、といったように用意しておいたカラーに置き換わります。

メニューの[イメージ(I)]→[色調補正(A)]→[グラデーションマップ(G)]から適用できます。

しかし、適用されるのは現在選択されているレイヤーのみです。
一度適用してしまうと色の再編集ができません。
また、グレイスケイルで塗っている最中にどんな色になっているのか確認する手段がないのも不便です。

動的にグラデーションマップを適用する

直感的に作画し辛いグラデーションマップですが、調整レイヤーを使って工夫すると面白い塗りができます。
調整レイヤーとは、それより下にあるレイヤーへ効果がリアルタイムに適用されるフィルタのようなもので、仕上がりを確認しながら塗ることができるようになります。
クリッピングマスクを使い、調整レイヤーの適用範囲を調整しましょう。

このような構成にすると、調整レイヤーより下のレイヤーに色の置き換えが適用されます。
調整レイヤーなら作成した後でも置き換える色を編集でき、グレイスケイルで塗りながら結果を見れます。

塗りとして使うグラデーションマップ

グラデーションマップを使うと、「明るさを決めること」と「色を作ること」とを明確に分けれます。
黄色から肌色へ、そして赤みを帯びて暗くなる、といった肌の塗りをしたい場合、グラデーションマップを使えばレイヤーを分けて塗る必要がありません。
明暗にになる陰影をグレイスケイルで塗り、色を調整レイヤーで編集するだけです。
調整レイヤーを使うので結果を見ながら何度も編集ができます。
複数の色で塗り分ける必要がなくなり、レイヤを重ねる必要性も薄くなります。

明暗をグレイスケイルで塗り、調整レイヤーを使って
淡い紫→赤→肌黄色グラデーションに色を置き変えた例。実際のソースは左のグレイスケイルです。

また、一度作ったグラデーションはプリセットにストックしておけます。
同じ色を表わす必要のある作品ではカラーパレットのように扱え、作画の効率化に繋がります。

肌色プリセット

これらのプリセットはワンクリックで適用でき、再編集もできます。
グレイスケイルで塗ったソースさえあれば、様々な質感を持つ色に変更が可能です。

もちろんこれだけで絵は完成しませんが、影の色の階調を塗り分ける作業がいくつか省略できます。

スポイトについて

色が置き換えられて表示されるということは、塗っているグレイスケイルの明度と、置き換えられた色の明度が一致しないということです。

目に見えている色をスポイトしたとしても、それは置き換えられた後の色なので、元のグレイスケイルの明度を拾えないのです。
この問題を解決するためにも工夫がいります。

方法1. スポイトのオプションにある [サンプル] を [現在のレイヤー] にしておく
レイヤー全体の色を拾わず、現在選択しているレイヤーのソースのみ拾えるようになります。

方法2. マスクを使う

下地は黒一色で塗りつぶしておき、その上に白一色で塗りつぶしたレイヤーを作ってクリッピングします。
白のレイヤーのマスクを作り、白のアルファ値にペイントして下地の黒とブレンドしていく方法です。
グラデーションマップはブレンドされた結果の色に効果が適用されます。
マスクにペイントするのなら、表示されている色は関係ありません。

アルファ値とは相性が悪い

これはアルファ値(透明度)によるグラデーションと、グレイスケイルのグラデーションを混同した時に起こる間違いです。 灰色に見えていても、透明度が影響して灰色に見えているだけであって、実際のソースは黒なのです。
そのため、色の置き換えは黒(0%)の位置にある赤一色で塗りつぶされてしまった、という訳です。

上でも紹介したように下地を全て塗り潰してから、その上にグラデーションを描画するようにしましょう。

グラデーションエディタ

グラデーションマップの設定画面で、グラデーションをクリックすると表示されるエディタです。

滑らかさの数値が高いほど、心理物理量的にグラデーションが自然に見えるようになります (線形ではなくなる)。
グラデーションを保存するには、グラデーション名を編集して「新規グラデーション」ボタンを押します。
逆に保存したグラデーションを削除するには、Altキーを押しながらプリセット上のグラデーションをクリックします。
グラデーションの順序、整理はプリセットマネージャで行えます。